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有閑風宿-ゆうかんかざやどり-

 ばち、と空気が弾けたかと思えば、明々しい火の粉を散らしながら、熱い風がひんやりとした空気を威圧した。



「――――やっほぉォォオオオオオオ!!! バッドな風神たん、げんきぃいいいいいいいい!!!!!」
「……お前ほど気力に溢れてはおらぬ」
 飽き飽きした、とばかり全面に押し出した銀髪の少女の言葉に、その熱風の渦からいきなり飛び出した黒髪の少女は、「なによぅ」と語尾を跳ね上げた。
「なに、だと?……抜け抜けと。随分と久しいな、焔の風よ。何ゆえ参る」
 風、とただ一言で称されて、少女はむ、とばかり頬を膨らませるが、反駁はしない。
 実際風だからだ。――否、正しくは風の精霊であるからだ。



 光さえも息を潜めるような、深すぎる森である。
 ざあざあと不気味ですらある風鳴りの只中で怠惰そうに緑に抱かれた、銀と紫水晶の色彩の少女の姿――諸事情により半端ながらも、闇に属する風神であるその姿は、常に緩い気流に包まれている。
 ……寛いだ、といえば聞こえはいいが、明らかにだらけきったその有様に、その視線の正面に浮かび対面している風精は眉を顰めた。
「なぁにしてるのよ、貴方は。こんな他者の……樹神の領域で」
「間違ってはおらぬであろう? 樹は唯一、風を宿すものだ。そこで我が身を休めようが、どうだ、理通りではないか」
「理を嫌う貴方が、そんなことを気にするとは思わなかったわね」
「所詮理屈だ。――何を勘違っておるのだ、そうそう自由なものに在らぬぞ、我は」
 ひどく芝居がかった調子で肩を竦める風神に、たたみかけるように黒髪の風精は言葉をつなげる。
「じゃあ、その理に定められた「お仕事」はどうしたのよ、ねえ?」
 なじるような口調になるのは、事実、この神が何もしているように見えないからだ。
 神はそもそも権力者ではない。 世界を支える為に存在する、その為に超人的な力を与えられた、孤高の柱でしかないのだ。
 ゆえに課された「使命」は大きなものであり、このように堕落して擲つなど赦されることではない。
 「光」の――人々の信仰を集める方の風神はそれをしっかりと果たしているから特に、この「闇」に属する風神は、風精の目にはだらしなく映る。
 だが風神は、大儀そうに身じろぎしただけだった。

「いいのだ、我は」
 そこで言葉を切り、ほう、と溜息を吐き出す。
 緑の上に水のように伝う銀髪が、ちらりと揺れた。
「第一、我は人の空蝉の世の為に何をする神ではない。光と闇、陰と陽、正と負――均衡を調律するのみが、唯一にして絶対の宿命よ。表だってどうするだとか、……そんなもの」
 ある訳がない。
 何故ならこの力は、闇であるが故の特性として、瘴気と紙一重。
 害を及ぼす力に、それを積極的に行使する「権利」など、ある筈がないではないか。

「……なぁ、フェーン。素晴らしい皮肉だとは思わぬか?」
 幾許かの沈黙の後、く、と猫のように喉を鳴らして、なんでもないことのように風神は言った。
「自由奔放な風を司る者が、こうも戒めばかりを課せられているとは」

 フェーンと呼ばれた風精はただ、言葉なく俯いて憫笑(わら)っただけだった。

フェーンちゃんを書きたかっただけ(爆


ぶっちゃけ、自作小説の「風の祈り歌」に被る気がしてきた風娘の立場orz
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